スポーツ局ニュース

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テニス指導者のためのコーチング科学講習会を実施

(公財)日本テニス協会公認の指導者研修会開催団体であるテニスフォーラムは、12月1日(土)、2日(日)、元デビスカップ日本代表監督をはじめとした豪華な方々を招き、参加者の方々に質の高いスポーツ科学情報や最新の知見を提供する「第19回テニスフォーラム」を本学にて開催しました。

1日目の開会の挨拶では、本会会長である蝶間林利男氏が、これまでのテニスフォーラムの歴史や日本のテニスの躍進について語りました。また、「(欧州での研究成果などを紹介しながら)数あるスポーツの中でもテニスは、健康寿命に大きく貢献している」と述べ、改めてテニスの魅力や将来性を伝えました。

開会の挨拶を担当した蝶間林氏

 

最初の講演は、日本卓球の躍進を支えた元・卓球ナショナルチームのアナリストで、現Tリーグ日本ペイントマレッツのコーチである池袋晴彦氏。同氏は、これまでの自身の活動を紹介しながら現在の日本選手の活躍について「日本の卓球界は、JISS(国立スポーツ科学センター)やNTC(ナショナルトレーニングセンター)の完成以降、科学的なデータを駆使して練習をすることが多くなった。

また、低年齢世代からナショナルチームを発足させることにより、日本代表になるまで一貫したサポートが可能となり、トップ選手には科学的なサポートや科学的根拠に基づいたトレーニングや指導を受けることに慣れている」と説明し、参加者に科学的なサポートの重要性を伝えました。

日本卓球の躍進を支えた池袋氏

次に、(株)Sports Multiply代表の佐藤哲史氏によるフットワークを向上させる「ライントレーニング」についての指導と実演が行われました。佐藤氏が紹介するライントレーニングは、体育館やコートにあるラインで行うフットワーク系コオーディネーショントレーニングです。

佐藤氏は、「このトレーニングは、コーディネーションやリズムなどの調整力を鍛えながらフットワークを向上させ、ケガ・故障の危険性を低下させるための方法として有効である」と説明。特に成長期で様々な能力の獲得が必要なジュニア選手を指導している参加者にとって、有意義な情報となりました。

ライントレーニングを指導する佐藤氏

続いて、本学教授である梅林薫氏が、ジュニア選手のケガをさせない身体づくりについて講演しました。梅林氏は、「テニスでの身体づくりで必要なことは、オンコート、オフコート、試合の3つのバランスを考えることであり、特にジュニア期においては、オーバユースによるケガを予防するためにPHV(最大発育速度年齢)を考慮しトレーニングを計画することが重要である」と述べました。

ジュニア選手の育成について語る梅林氏

1日目、最後のセッションは、車いすテニス世界ランク1位になった選手の元コーチであり日本テニス協会S級エリートコーチの丸山弘道氏による、「テニスの基本を再確認する」というテーマの指導実演。本学テニスコートにおいて参加した指導者とともに世界で活躍する選手を指導した経験のもと、テニスの正確な動きの基本を実演しました。丸山氏は「ジュニア選手に堅実さと正確さを身につけさせる必要がある」とコメントし、指導のポイントを説明しました。

丸山氏によるオンコートでの実演

2日目、最初のセッションは、本学教授である土屋裕信睦氏が選手の自立を促すコーチング方法について実技を交えながら講演しました。

土屋氏は、選手のやる気を高めるためにコーチができることを、心理学的な視点で参加した指導者に伝え、選手の自律性、有能感、コーチやチームメイトとの関係性をよりよくするための指導方法を紹介しました。チームビルディングやその他のトピックは、聴講者参加による実演と解説により進められました。

土屋氏による実演

続いては、土屋裕睦氏と丸山弘道氏によるトークセッション。

ここでは、丸山氏が育成した世界王者の指導実例について、心理学の手法を使ってこれまでの活動を可視化しながら行い、これまでの経験を通して考えた一流選手のあり方や、指導者としての哲学を熱心に伝えました。

ちなみに丸山氏は、現在大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科博士前期課程に在籍しながら、土屋教授に師事し、これまでのコーチング活動の実績や経験をもとに研究を進めています。

トークセッションの様子

本フォーラム最後のセッションでは、元デビスカップ日本代表監督である竹内映二氏が、試合に勝つための戦略や効果的なコーチング方法を、本学テニス部の学生への指導や実演を通して解説しました。

竹内氏は基礎的技術や戦術を理論的に説明し、技術を習得させる具体的な練習方法を実演。実際に指導を受けた学生は短時間のアドバイスであったにもかかわらず「自分のテニスが変わった」と話し、竹内氏の指導力の高さを実感させる講習となりました。

技術指導のポイントを説明する竹内氏

閉会は、長年テニスフォーラムを企画・推進してきた本会会長の蝶間林利男氏、本学教授の梅林薫氏が務め、「第19回テニスフォーラムは、『テニスのコーチングを再考する』というテーマで開催されました。講演を担当された講師は、それぞれの分野のエキスパートであり、指導現場で培った貴重な技術や豊富な知識と、これからのコーチングの現場に活用できる貴重な知見を提供してくれました」と締めました。

イベントに参加した指導者からは「豪華な講師の方々から貴重な話を聞けた。次回もぜひ参加したい」といった声が聞かれ、盛会のうちに終了しました。

このテニスフォーラムのようなコーチングを支える指導者研修会が開催されることは、スポーツ指導者の質を高め、日本のスポーツの基盤づくりと発展につながると確信することができました。

なお、今回のフォーラムは大阪体育大学スポーツ局も開催協力として参画。まさに本学が具現化をめざす大体大ビジョン2024「拠点づくり」である、体育学・スポーツ科学・教育学の研究・実践・人材の力を活かしたスポーツの拠点形成に資する取り組みであることも実感することができました。