スポーツ局ニュース

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『女性アスリート心理サポートカフェvol.7 ハイパフォーマンス女性アスリートへの心理サポートの可能性―メディカルサポートのフロントラインよりー』が開催されました

2019116()、本学中央棟6F共用会議室にて、『女性アスリート心理サポートカフェvol.7 ハイパフォーマンス女性アスリートへの心理サポートの可能性メディカルサポートのフロントラインよりー』が開催されました。 

趣旨説明を行う實宝希祥コーディネーター

趣旨説明を行う實宝希祥コーディネーター

女性アスリートが抱える課題には大きく分けて身体・生理的な課題、心理・社会的な課題、組織・環境的な課題の3つがあります。本学はその中でも心理・社会的な課題に焦点を当て「女性アスリートに対する心理サポートプログラムの開発」に取り組んでおり、女性アスリートが抱える課題を明確にし、そこから導き出される実践プログラムの開発を目指しています。

今回はスポーツドクターとして活躍する中嶋耕平氏に講演していただきました。

講演する中嶋耕平氏

講演する中嶋耕平氏

中嶋氏は国立スポーツ科学センターの立ち上げ時から研究員として勤務し、北京(2008年)、ロンドン(2012年)、リオデジャネイロ(2016年)で開催されたオリンピック大会ではメディカルスタッフとして日本代表団に帯同しました。

JOC医学サポート部門に登録されている医師は男性20名に対し女性は5名と少ないのが現状ではありますが、オリンピック大会に派遣する医療スタッフは、アスリートサポートの面で半数を女性スタッフが担うという配慮もなされています。オリンピック大会の現地での業務は、各国に提供されたスペースを医務室に作り変えることから始まります。中嶋氏がオリンピック大会を3度経験し心理的な効果という部分で気付いた点は、海外と日本の医務室の作り方やレイアウトへの配慮の違いだったと言います。「アメリカは戦闘モードに入らせるようなモチベーションを意識した感じであったり、オーストラリアでは動物の人形が置いてあったり明るい感じがしました。日本をはじめ、韓国や中国といったアジア諸国の場合、あまりそういうこと考えておらず、機能面のみを重視する傾向にあります。海外はそのあたりへの配慮もしっかりしてるのだなと思いました」

また、選手とのやり取りで、意識していることは「とにかく嘘はつかない」ということです。不必要に不安を煽るような全てまでは言わないけれど『嘘をつかない』ように接する」ということを心掛けているとのこと。例えば、試合直前に負傷してしまった選手に対し、内心では試合出場は厳しいと思いつつもそのことには触れず、治療プランのみを伝え、適切な処置を行った結果、見事金メダルを獲得したというようなこともありました。

中嶋氏の話に耳を傾ける参加者たち

中嶋氏の話に耳を傾ける参加者たち

後半は土屋裕睦教授が参加者にも発言を促し、ディスカッション形式で進行されました。故障の具合について嘘はつかないけど全ては言わないという方針について「指導者に対してはどうなのか?」と質問されると、中嶋氏は「話を聞いて理解してくれる人とそうでない人と格差はありますが、正直に『休まないといけません』と言ってます。コーチの方が選手のことを把握していることも多いので『先生、全部は言わないで下さいね』と言われることもありますし。(痛み止めの)注射という選択肢を示した時にアドレナリンが出るから要りませんという選手もいるし、必要以上にナーバスになる選手もいます。怪我をして闘争心に火がつく人もいますし、ちょっとでも不安があるとダメな人もいます。そこはトレーナー等と共有して対応をした方がいいのかなと思います」と回答。

参加者に話を振る土屋裕睦教授

参加者に話を振る土屋裕睦教授

また、「アスリートは休むことへの不安が強くて、女性の方が特に不安が表面に出やすい印象がありますね。男性は『休むことを受け入れてスゴイね。』って言うと背筋が伸びてポジティブになってくれる選手が多いのですが、女性の場合はどちらかというと怪我の重症度に共感するような内容にとどめた方が良いのかもしれません」と怪我に対する反応でも性差はあると自身の経験を述べられました。

その後も時間の許す限り指導者やスポーツメディカルに携わる参加者と議論を深めました。

土屋教授は、「トップ選手の実際の怪我の場面でのスポーツドクターのやり取りを公表いただけたのは大きかったですし、嘘をつかないのは大事なことで、そこが選手との信頼関係になってメダルにつながったのが感動だなと思って聞かせていただきました」と、本会についてまとめると、中嶋氏は「実は心理サポートをされる方々とこのように話す機会が中々無かったので、(今後)連携について検討していきたいなと思います。リハビリとメンタルサポートをチームとして取り組んでいくシステムが出来上がると、(怪我をした)選手の回復は早いのかなと思いました」と本会を通じた感想を述べられました。

女性アスリート心理サポートカフェの今後の開催情報は当サイトにて順次ご案内します。